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全校朝会の話9.17 今年のイグ・ノーベル賞について

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 先週は、みなさんの自由研究の話でしたが、今週は「イグ・ノーベル賞」の話をします。  イグ・ノーベル賞とは、毎年のノーベル賞の前に発表されますが、「人をクスッと笑わせつつ、考えさせる研究」に贈られる賞で、今年は武部貴則さんらの研究チームに「生理学賞」が贈られました。  さて、武部さんの研究チームは、豚などの動物に、口と肺以外のある場所で呼吸する能力があることを発表したのですが、体のどこから呼吸することを見つけたのでしょうか。  1 耳   2 おへそ  3 おしり     正解は、3のおしりです。  この研究では、口と肺による呼吸が難しくなった豚などの動物の腸に、高い濃度の酸素を含んだ特殊な液体をお尻から送り込む実験をしました。その結果、どの動物も血液中の酸素が大幅に増えたそうです。  武部さんは受賞のあいさつで、「お尻には、呼吸できるという秘められた能力があることを信じてくださってありがとうございます」と英語で話すと、会場は大きな笑いに包まれたそうです。  武部さんはNHKの取材に対して、「研究をしても一定の評価をされないと長く続けられない面がある中、今回の受賞は大きな意義があると思いました」と語り、さらに「変なことをやっていても大丈夫だ」という勇気をもらった気がするので、これからも変わった視点から研究を続けたい」と話しました。  今回受賞した研究は、「お尻」で呼吸すると聞くと、ちょっと面白い話題のように聞こえますが、この研究論文は、2021年、新型コロナウイルス感染症によって、重い肺炎にかかる患者が多い中で発表されたものです。口と肺で呼吸することが難しい患者への治療法として、現在も実用化に向けて研究が進められています。いつか、この研究によって命が助かる人が増えることが期待されています。  最後に、今回のイグ・ノーベル賞の発表を聞いて、ほかの人と違うところに目を付けることや、結果が出るまで粘り強く取り組むことの大切さを教えられたように思いました。             校長 景山賢治


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